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AI時代のニューディール

皆さん、こんにちは。

今回は、2018年2月22日付の日経新聞電子版の下記の記事に関する考察をお伝えしたいと思います。

AI時代のニューディール

この記事(※1)の筆者であるグローバル・ビジネス・コラムニストのラナ・フォルーハーさんは、『最近参加したある会議では、米国の世界的大企業の経営者らが、数年以内に仕事の30~40%を技術で置き換えることができるとし、その方法について話し合っていた。その上で彼らは、その規模でのリストラを実施した場合の政治的な影響について思い悩んでいた。』とし、この潜在的な雇用危機を好機に変える根本的な解決策を提案しています。すなわち、『自動化によって置き換えられる仕事は多いが、顧客サービスやデータ分析など切実に人材を必要とする分野の仕事も多い。従業員を解雇せずに新しい仕事ができるよう再訓練すると約束した企業には、税制上の優遇を与えればいい。』という提案になっています。

この記事では、AIが普及することで、労働市場においても格差が拡がるという可能性に警鐘を鳴らしています。

監査の世界でも『雇用の未来』 という論文(※2)において、「Accountants and Auditors」という職業の94%がAIやロボット等に置き換わるという刺激的な研究報告があるように、監査でも単調な仕事の部分は、AI等に置き換わっていくでしょう。

ただ、監査の本質は、監査テーマ(リスク・課題)から不正・誤謬等に関する仮説を設定して監査手続を立案し、監査手続に必要なデータを特定して、そのデータを使って監査手続を実施し、結果を評価するという仕事であり、決して単調な仕事ではないと私は考えています。

したがって、これからの監査人は、仮説立案技能、データ処理・分析技能、報告技能という3つの技能を高いレベルで身につける必要があるのです。逆説的な言い方をすると、これらの技能を身につけなければ、監査人として生き残っていけない時代になってきているのではないでしょうか。

※1:日経電子版の会員限定の記事ですが、会員登録をすることで閲覧できます(有料記事については、数量が限定されています)。
※2:Published by the Oxford Martin Programme on Technology and Employment, 2013

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