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CAATsを活用したデータ監査の普及に向けた取り組み

皆さん、こんにちは。

今回は、『CAATsを活用したデータ監査の普及に向けた取り組み』というテーマで記事を書きます。

自己紹介のページ(こちら)にある通り、私は監査法人で25年間、働いてきました。

私は入社して以来、ライフワークとしてコンピュータ利用監査技法(以下、CAATs ※1)の実践と普及に取り組んできましたが、CAATsを活用したデータ監査を社会全体に普及させたいと思い、2017年に監査法人を退職して会社を設立し、現在に至っています。

会社設立当初は、データ監査に必要な知識やスキルが社会に不足していると感じたため、教育協会であるICAEA JAPAN(※2)を設立するとともに、データ監査導入を支援する三恵ビジネスコンサルティング株式会社も設立してCAATsを活用したデータ監査を普及するための事業を始めましたが、創業して3年くらい経過した際に、思い通りにデータ監査が拡がっていないように感じ始めました。
その要因として、私はCAATsツールの導入コストが高いことと、CAATsツールを使った分析にかかるノウハウが社会に提供できていないのではないかと思うに至りました。現在、利用されているCAATsツールはプロフェッショナルが使うソフトウェア(プロフェッショナルツール)であることから、一人年間数十万円のコストがかかります。プロフェッショナルツールとしては、妥当な価格であるとは思うものの、それでは、より多くの監査人がCAATsを当たり前に使えるような環境を作ることは難しいと感じました。また、いくらすべての監査人のPCにCAATsツールが使える状態にあったとしても、使い方が分からなければ、普及することは難しいとも感じました。私は、データ監査を特定のプロフェッショナルだけの世界ではなく、監査人であれば誰もが使っている世界を作りたいと考えています。

そこで、私は誰もが気軽に導入できるコストでCAATsツールを開発することを思い立ち、構想から4年を経て、2023年7月にTHUMGY Data(サムジーデータ ※3)というCAATsツールをリリースしました。

THUMGY Dataはコスト面での課題を解決するために、年間一人8,800円で提供することを決めました。通常、価格は投資コストや販売見込みなどから算出しますが、私は、CAATsを活用したデータ監査を普及させたいという思いから、理念で価格を決めました。この価格帯であれば、特定の監査人だけではなく、より多くの監査人が使える環境に近づけると思ったからです。また、CAATsツールを使った分析にかかるノウハウについては、THUMGY Dataで分析が行えるプログラム(以下、スクリプト)を無償で提供するという『オープンスクリプト※4』の提供も予定しています。

THUMGY Dataは、継続的に機能追加をしていくとともに、来るべきAI監査にも対応することも予定しています。

また、オープンスクリプトも準備が整い次第、公開していきますので、皆さん、ご期待ください!→公開しています(こちら)

THUMGY Dataの詳細については、以下のリンクを参照ください。
https://www.sankei-bc.co.jp/thumgy

当記事の内容でご意見やご感想がありましたら、ご連絡をいただけますと幸いです。また、CAATsに関するご質問があれば、遠慮なくお問い合わせください。

お問い合わせ先:https://www.icaeajp.or.jp/inquiry/contact/

※1:CAATs ( Computer Assisted Audit Techniques, コンピュータ利用監査技法 )とは、監査人がコンピュータとデータ(IT)を利用して監査手続を実施する技法をいい、CAATsを利用して監査を行うということは、ITを活用して監査を行うことと同義になります。日本では、CAATと表記されることが多いのですが、海外では、複数形のsをつけたCAATsと表記されることが多く、ICAEA(International Computer Auditing Education Association)でもCAATsという言葉を採用しているため、当BlogとしてもCAATsという言葉を使用しています。

※2:ICAEA JAPANとは、一般社団法人 国際コンピュータ利用監査教育協会の略称であり、CAATsを実務で活用できる専門家(=CAATs技術者)の育成・支援を行うことで、日常的な不正・誤謬を発見・防止することに貢献することを目指して設立されました( https://www.icaeajp.or.jp/ )。

※3:CAATsの普及を目的に、CAATsに長年携わってきた公認会計士が開発したCAATs専用ツール。開発および提供は三恵ビジネスコンサルティング株式会社が行っています。三恵ビジネスコンサルティング株式会社では、監査人が効率的にCAATsを実践できることを目的として、監査に便利なオープンスクリプト(※4)をWebサイトで提供することを予定しています。

※4:オープンスクリプトとは『THUMGY Data for Analytics』で実行できるプログラムであり、誰でも無償で利用でき、変更や再配布も自由に許可されています。

一般社団法人 国際コンピュータ利用監査教育協会(ICAEA JAPAN)のFacebookページを開設しております!よろしければ、「いいね」ボタンのご協力をお願いします。

三恵ビジネスコンサルティング株式会社(SankeiBizCon)のFacebookページも開設しております!よろしければ、「いいね」ボタンのご協力をお願いします。

☆CAATsを学びたい方への研修情報!

 https://www.icaeajp.or.jp/learning/courses/

Blogを始めた理由

皆さん、こんにちは。

この度、Blogを始めることになった弓塲啓司と申します。私は1992年に公認会計士2次試験(当時)に合格し、監査業界に入りました。この業界に入ってからすぐに監査先からデータを入手して監査手続を実施するというコンピューター利用監査技法( Computer Assisted Audit Techniques = CAATs )に携わり、現在に至っています。たまたま配属された監査チームの先輩がパソコンを使って監査をしようという会計士で、会社を担当していた代表社員もそれを温かく見守ってくれていたため、私も自然とパソコンで監査をすることに入っていけました。

最初は、単純に合計チェックをしたり、残高確認書の送付先をランダム抽出したりして喜んでいました。

それから、何時間もかけて手で作成していた月次推移表を、各担当者がボタンを押せば担当科目の月次推移表が画面で照会できるようにしたり、印刷できるようにしたりと、特に手続実施の効率性を高めることを中心にCAATsを活用していましたが、金融機関の未収利息や貸倒実績率の再計算などをする頃から、手ではできない手続を実施することで、CAATsを監査品質の向上につながる技法として活用するようになりました。

この頃から、CAATsをもっと普及させたいと思うようになり、2017年9月に一般社団法人 国際コンピュータ利用監査教育協会(ICAEA JAPAN)を立ち上げました

これまで私が20年以上にわたって培ってきたCAATsに関する知識・スキルをBlogやICAEA JAPANのサービス等を通じて、できるだけ体系立てて皆さんにお伝えしたいと思います。

Blogの更新タイミングは、出来るだけ定期的に発信していくように努力をしますので、皆様、乞うご期待!

CAATsの定義

このBlogではCAATs(Computer Assisted Audit Techniques, コンピューター利用監査技法)の定義を監査人がコンピュータとデータ(IT)を利用して監査手続を実施する技法と定義しています。

したがって、CAATsを利用して監査を行うということは、ITを利用して監査を行うことと同義になります。

ここで重要なポイントは、CAATsは「ITを利用した監査技法」であって、ACLやIDEAといったCAATsツールを意味するのではないということです。

因みに、日本では、CAATと表記されることが多いのですが、海外では、複数形のsをつけたCAATsと表記されることが多く、ICAEA(International Computer Auditing Education Association)でもCAATsという言葉を採用しているため、ICAEA JAPANとしてもCAATsという言葉を使用しています。従いまして、当BlogでもCAATsと表記します。