監査人の技能再教育(リスキリング)

皆さん、こんにちは。

今回は、2月27日付の日経新聞電子版の下記の記事に関する考察をお伝えしたいと思います。

【AIと働き方(中) 多様なフリーランス台頭】

https://www.nikkei.com/article/DGXKZO27392740W8A220C1KE8000/

『AIと働き方(中) 多様なフリーランス台頭』(栄藤稔 大阪大学教授 経済教室 コラム(経済・政治)2018年2月27日日経新聞電子版(※1))に『日本政府が提唱している科学技術政策の基本方針(2016~20年度)である、「ソサエティー5.0」時代には、AIとロボティクスによる自動化が加速し、生き残っていける職種と雇用形態も変化していくこと』を予想され 、また、『キーワードは技能再教育(リスキリング)だ。これまでは一般に20歳前後まで教育を受け、その教育に基づいて就職先を決め、定年まで働いて一生を終える人が珍しくなかった。そのモデルが自動化が大きく進むソサエティー5.0の時代では成り立たなくなる公算が大きい。』と述べられていました。(ソサエティー5.0については、※2をご参照ください。

この記事で興味深いことは、職種と自動化の関係を、職業を構成する業務が知識労働か作業労働か、定型か非定型かで単純化して象限を4つに分けた考え方にあり、この関係がとても分かりやすい図になっています(参照記事より引用)。

ある特定の職種の中にも非定型業務、定型業務、知識労働、作業労働のいずれも含まれている場合があるため、単純に職種単位でこの4象限のどれか一つに当てはめることが難しい側面もありますが、考え方を整理するうえでは有用であると考えます。

もし、現在携わっている職種、もしくは、これから携わろうとしている職種が定型、非定型、知識労働、作業労働という4つの軸で整理してみた場合、どの軸に近いかを考え、上図でいう第Ⅲ限と第Ⅳ象限に属している割合が多いと考えるのであれば、職種を変えるか、あるいは、その職種の中でも非定型業務と知識労働の部分を担えるような技能を磨く努力を行っていく必要があります。

この努力は、個々人が取り組むべき課題であることに間違いはありませんが、この記事のキーワードである「技能再教育(リスキリング)」は、社会的にも対応していくべき課題であると私は考えます。

「監査」という職種は、4つの象限に当てはめた場合、現状ではいずれの象限にも業務が散らばっていますが、これからは第Ⅱ象限と第Ⅰ象限が中心になっていくものと思われます。つまり、人手不足が深刻な監査業界においては、監査人がAIを駆使して効率的かつ深度ある監査を実現することが求められるようになると考えられます。AIを駆使するためには、監査人にはデータ分析の素養が必須となります。すべての監査人にデータ分析の素養を身につけてもらえるような「技能再教育(リスキリング)」に私は貢献していきたいと考えています

※1:日経電子版の会員限定の記事ですが、会員登録をすることで閲覧できます(有料記事については、数量が限定されています)。

※2:サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)。狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもので、第5期科学技術基本計画において我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱されました( http://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/index.html )。

 

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