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THUMGY DataとExcelについて(3)

皆さん、こんにちは。

前回に続き、『THUMGY DataとExcelについて』というテーマで記事を書きます。今回が最終回です。

前回はデータ分析を行う目的でExcelを使う場合の課題に対するTHUMGY Data(※1)の対応を書きましたが、今回はそのまとめを記述していきます。

前回および前々回の記事をまとめると、データ分析を行う際にExcelからTHUMGY Dataに切り替えると以下の4つの効果があることが分かります。

効果1:大規模データの処理が可能

効果2:エラーを発見できないリスクがない

効果3:作業の属人化が防止できる

効果4:労働生産性が向上する

下図は、上記をまとめたものです。

THUMGY Dataは、年間8,800円/人で利用できます。また、操作性もExcelと同じように使いやすいユーザーインターフェースを採用するなどして、「高額で高機能な専門ツール(※3)の機能をExcelと同等の価格感で利用できる本格的なデータ分析ツール」という点がTHUMGY Dataの強みになります。

現在、Excelで上記のような課題感をお持ちの方は、データ分析ツールとしてTHUMGY Dataの利用をご検討ください。

当記事の内容でご意見やご感想がありましたら、ご連絡をいただけますと幸いです。また、CAATsに関するご質問があれば、遠慮なくお問い合わせください。

お問い合わせ先:https://www.icaeajp.or.jp/inquiry/contact/

※1:データ分析の普及を目的に、監査においてデータ分析に長年携わってきた公認会計士が開発したデータ分析ソフトウェアです。開発および提供は三恵ビジネスコンサルティング株式会社が行っています。三恵ビジネスコンサルティング株式会社では、監査人が効率的にデータ分析を実践できることを目的として、すぐに監査に利用できるオープンスクリプト(※2)をWebサイトで提供しています。

※2:オープンスクリプト(こちら)とは『THUMGY Data for Analytics』で実行できるプログラムであり、誰でも無償で利用でき、変更や再配布も自由に許可されています。

※3: 専門ツールは大量データを高速に処理ができる設計になっているデータ分析ツールのことを指しており、ETLツールおよびセルフサービスBIを想定しています。いずれも年間一人あたり数十万円のライセンス使用料が一般的です。

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THUMGY DataとExcelについて(2)

皆さん、こんにちは。

前回に続き、『THUMGY DataとExcelについて』というテーマで記事を書きます。前回はデータ分析を行う目的でExcelを使う場合の課題を書きましたが、今回はそのExcelの課題に対してTHUMGY Data(※1)がどのように対応できるかについて、記述していきます。

Excelの課題1:処理可能なデータ件数には上限がある

THUMGY Dataにはシステム上のデータ件数の上限はありません。私が実際にデータ分析に使用した最も多いデータ件数は2,500万件程度でした。データ分析を行うPCによって時間差がありますが、処理は止まることはありませんでした。

Excelの課題2:大規模データの場合、パフォーマンスが低下する

THUMGY Dataは、大規模データを処理することを想定して設計したデータ分析ソフトウェアのため、数十万件程度であれば、大きなパフォーマンスの低下はありません。

Excelの課題3.エラーチェックが難しい

THUMGY Dataは、明示的に条件を設定しない限り、すべてのデータを対象にして処理をするため、集計漏れによるエラーはシステム的に発生しません。また、スクリプトの構文などに不備があった場合、処理が中断されるため、集計エラーなどが発生するリスクはありません。

Excelの課題4.処理ロジックのブラックボックス化

THUMGY Dataは、操作履歴からスクリプトを作成するため、スクリプトを見ると、操作手順を把握することができ、操作ログを見ると、処理結果が確認できます。THUMGY Dataを使うと処理の全体像が見える化されるため、他者によるレビューや引継ぎなどが容易にできるようになり、作業の属人化が防止できます。

Excelの課題5.処理の自動化が難しい

処理の自動化にはプログラム作成が必要になりますが、Excelの場合、VBAを読み書きできる専門スキルが必要になるのに対し、THUMGY Dataの場合、1つの処理は基本的には2行で記述され、記述も分かりやすい英単語のため、誰でも処理内容について理解できます。また、THUMGY Dataでは、操作履歴をコピーしてスクリプトを作成するため、xBase言語を自ら記述する必要はありません。したがって、THUMGY Dataは、スクリプト(プログラム)を作成するための専門スキルは不要です。

次号では、Excelの課題に対するTHUMGY Dataの対応について、対比しながらまとめていきます。

当記事の内容でご意見やご感想がありましたら、ご連絡をいただけますと幸いです。また、CAATsに関するご質問があれば、遠慮なくお問い合わせください。

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THUMGY DataとExcelについて(1)

皆さん、こんにちは。

今回は、『THUMGY DataとExcelについて』というテーマで記事を書きます。

Excelは安価で使いやすく、機能が豊富でインターネットや書籍などからも必要な情報が入手できるため、ほとんどのビジネスパーソンがExcelを仕事やプライベートで使っているのではないでしょうか。

私も日常的にExcelを使っており、その便利さを痛感しています。ただ、Excelにも課題はあるため、用途に応じてツールを使い分けていくことが重要だと考えています。

特にデータ分析を行うという観点からは、Excelには以下の5つの課題があると考えています。

1.処理可能なデータ件数には上限がある

Excelがデータとして扱えるデータ件数は約100万件までです。日常的に取り扱うデータ件数としては十分ですが、データ分析をする場合には、この件数が制約になる場合があります。

2.大規模データの場合、パフォーマンスが低下する

Excelは約100万件まではデータを扱えるということになっていますが、数十万件になると、ファイルを開いたり、保存したりするだけで、10秒以上かかったり、データの更新をするだけで、数十秒かかったりする場合もあるため、大規模データを使ったデータ分析には適していません。

3.エラーチェックが難しい

Excelは各セルに関数や数式を直接記述して各種計算やデータ処理を行う方法が一般的ですが、関数や数式に設定したデータ処理の対象範囲は固定されるため、処理対象のデータが対象範囲を超えていたとしてもエラーにはなりません。したがって、正しく処理がなされているかどうかを判断するために、論理整合性を確認するための検算式を入れるなどの工夫をする必要があります。

4.処理ロジックのブラックボックス化

一般的にデータ処理は処理手順に従って行われますが、Excelの場合、シートを作ったり、ピボットテーブルを作成したり、関数をセルに埋め込んだりして、処理を進めていくため、Excelファイルを開いて見ただけでは、処理手順が全く見えません。結果として処理ロジックのブラックボックス化につながってしまいます。

5.処理の自動化が難しい

Excelで処理の自動化を行うためには、VBA(Visual Basic for Applications)でプログラムを作成する必要があります。最近のバージョンでは、「自動化」メニューが用意されており、操作記録をVBAに変換する機能も付いていますが、そのVBAを再利用するためには、VBAのメンテナンスが必要になるケースが多く、結局はVBAのスキルが必要となり、誰でも処理の自動化ができるわけではありません。

次号では、上述したExcelの課題に対して、THUMGY Data(※1)がどのように対応しているのかについて記述していきます。

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CAATsと非財務情報の開示について

皆さん、こんにちは。

今回は、『CAATs(※1)と非財務情報の開示について』というテーマで記事を書きます。

近年、企業評価において非財務情報の重要性が高まっています。非財務情報は、企業の財政状態や経営成績を示す財務情報以外の情報であって、主に環境(Environmental)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)に関連した情報をいいます。「環境」には温室効果ガスの排出量、エネルギー使用量、廃棄物管理、資源の持続可能な利用などが含まれ、「社会」には労働条件、人権尊重、多様性の推進、地域社会への貢献、従業員の福利厚生などが含まれます。また、「ガバナンス」には企業統治の透明性、取締役会の構成、倫理規定の遵守、リスク管理体制などが含まれます。いずれも数値だけだは表せない定性情報が主な内容になっています。

これまでの財務情報だけでは、企業が将来にわたって継続的に収益を上げていけるかどうかの判断が難しくなってきたことから、非財務情報の開示に対するニーズが高まっています。とりわけ、非財務情報の中でも特に企業や社会が長期的に持続可能であることを目指す概念である「サステナビリティ」に関する開示基準が整備されつつあり、日本においても東京証券取引所プライム市場上場企業に対して、段階的に有価証券報告書等に開示を義務付ける案が出ています。開示が義務付けられた場合、投資家が開示情報を安心して利用できるために、第三者による保証が重要になり、どのレベルで保証をすべきかなどの検討が現在行われています。具体的な事例として、日産自動車株式会社が公表している「サステナビリティデータブック 2024(こちら)(以下、当ブック)」をご紹介します。当ブックによると、全体構成としては、「環境」、「社会性」、「ガバナンス」、「データ集」の大きく4つのパートに分かれており、それぞれ、主に定性情報が掲載されていますが、例えば、以下のように、計算された数値結果が表やグラフなどで表示されています。

いずれも計算に使用されるデータは多種多様であり、どのようにして数値の計算結果の正確性を確認するのかについての検討が必要になると考えます。現在は、主に表計算ソフトなどを使って、手動で確認をしている場合が多いのではないかと推察しています。また、定性情報の作成プロセスおよび計算結果に至るプロセスの内部統制の整備および運用状況の評価も検討されていると推察します。ただ、内部統制の整備および運用状況の評価で合理的な保証までできるのかについては、少し疑問が残ります。もちろん、各プロセスの内部統制は必須になると考えますが、内部統制がきちんと整備および運用されていたとしても、「おそらく大丈夫だろう」という心証は得られても、計算ミスやロジックミスが全くないという保証にはなりません。CAATsを利用すると、再計算と照合という手続きが実施できるため、数値の計算結果の正確性を完全に確認できます。再計算と照合は、会社が計算に利用したデータとロジックを監査人が入手し、監査人がデータ分析ツールを使って同じ計算を行い、その計算結果と会社の計算結果を照合する手続のことです。もし、監査人の計算結果と会社の計算結果が同じであれば、会社の計算結果が正しいという非常に強力な心証を得ることができるため、「合理的な保証」が可能になると考えます。

財務情報も複数のデータを利用してデータ分析を行いますが、非財務情報の場合、比べ物にならないほど多種多様なデータが必要になると想像しています。この時に、効率的かつ効果的に保証業務の手続を行うためには、利用するデータ分析ツールが重要になってきます。この点については、以下の特長を備えたCAATsツールを利用することが有効と考えます。

・データ編集が不可

・大量データの処理

・ログ(操作履歴)の記録

・スクリプトによる自動化

特に「データ編集が不可」という特長はCAATsツールに取り込んだ後はデータの編集ができないため、誤った計算結果になるリスクがありません。また、CO2排出量の計算や研修受講実績の集計などでは、大量のデータを扱うことが予想されるため、「大量データの処理」という特長も重要といえます。

THUMGY Data(サムジーデータ)(※3)はCAATsツールに分類されるデータ分析ツールであり、プログラミング言語の知識がなくてもプログラム(スクリプト)を作成できる機能が実装されており、大変、使いやすいデータ分析ツールになっています。THUMGY Dataの詳細については、以下のリンクを参照ください。

https://www.sankei-bc.co.jp/thumgy

今回は非財務情報の保証業務の話でしたが、今後も新しい形態の監査業務もしくは保証業務が出てくると思われます。一つだけ確実に言えることは、どのような形態の業務が出てくるかどうかにかかわらず、今後、ますます、監査人やビジネスパーソンにはデータ分析の素養が求められるということです。データサイエンスはハードルが高いと思われている方は、まずは、CAATsに取り組んでいただき、データ処理やデータ分析の基本スキルを身に着けてはどうでしょうか。

ICAEA JAPAN(※2)では、CAATs人材の育成プログラムをご用意していますので、ご興味のある方はお問い合わせください。

当記事の内容でご意見やご感想がありましたら、ご連絡をいただけますと幸いです。また、CAATsに関するご質問があれば、遠慮なくお問い合わせください。

お問い合わせ先:https://www.icaeajp.or.jp/inquiry/contact/

※1:CAATs ( Computer Assisted Audit Techniques, コンピュータ利用監査技法 )とは、監査人がコンピュータとデータ(IT)を利用して監査手続を実施する技法をいい、CAATsを利用して監査を行うということは、ITを活用して監査を行うことと同義になります。日本では、CAATと表記されることが多いのですが、海外では、複数形のsをつけたCAATsと表記されることが多く、ICAEA(International Computer Auditing Education Association)でもCAATsという言葉を採用しているため、当BlogとしてもCAATsという言葉を使用しています。

※2:ICAEA JAPANとは、一般社団法人 国際コンピュータ利用監査教育協会の略称であり、CAATsを実務で活用できる専門家(=CAATs技術者)の育成・支援を行うことで、日常的な不正・誤謬を発見・防止することに貢献することを目指して設立されました( https://www.icaeajp.or.jp/ )。

※3:CAATsの普及を目的に、CAATsに長年携わってきた公認会計士が開発したCAATs専用ツール。開発および提供は三恵ビジネスコンサルティング株式会社が行っています。三恵ビジネスコンサルティング株式会社では、監査人が効率的にCAATsを実践できることを目的として、監査に便利なオープンスクリプトをWebサイトで提供しています(こちら)。

CAATsを活用したデータ監査の普及に向けた取り組み

皆さん、こんにちは。

今回は、『CAATsを活用したデータ監査の普及に向けた取り組み』というテーマで記事を書きます。

自己紹介のページ(こちら)にある通り、私は監査法人で25年間、働いてきました。

私は入社して以来、ライフワークとしてコンピュータ利用監査技法(以下、CAATs ※1)の実践と普及に取り組んできましたが、CAATsを活用したデータ監査を社会全体に普及させたいと思い、2017年に監査法人を退職して会社を設立し、現在に至っています。

会社設立当初は、データ監査に必要な知識やスキルが社会に不足していると感じたため、教育協会であるICAEA JAPAN(※2)を設立するとともに、データ監査導入を支援する三恵ビジネスコンサルティング株式会社も設立してCAATsを活用したデータ監査を普及するための事業を始めましたが、創業して3年くらい経過した際に、思い通りにデータ監査が拡がっていないように感じ始めました。
その要因として、私はCAATsツールの導入コストが高いことと、CAATsツールを使った分析にかかるノウハウが社会に提供できていないのではないかと思うに至りました。現在、利用されているCAATsツールはプロフェッショナルが使うソフトウェア(プロフェッショナルツール)であることから、一人年間数十万円のコストがかかります。プロフェッショナルツールとしては、妥当な価格であるとは思うものの、それでは、より多くの監査人がCAATsを当たり前に使えるような環境を作ることは難しいと感じました。また、いくらすべての監査人のPCにCAATsツールが使える状態にあったとしても、使い方が分からなければ、普及することは難しいとも感じました。私は、データ監査を特定のプロフェッショナルだけの世界ではなく、監査人であれば誰もが使っている世界を作りたいと考えています。

そこで、私は誰もが気軽に導入できるコストでCAATsツールを開発することを思い立ち、構想から4年を経て、2023年7月にTHUMGY Data(サムジーデータ ※3)というCAATsツールをリリースしました。

THUMGY Dataはコスト面での課題を解決するために、年間一人8,800円で提供することを決めました。通常、価格は投資コストや販売見込みなどから算出しますが、私は、CAATsを活用したデータ監査を普及させたいという思いから、理念で価格を決めました。この価格帯であれば、特定の監査人だけではなく、より多くの監査人が使える環境に近づけると思ったからです。また、CAATsツールを使った分析にかかるノウハウについては、THUMGY Dataで分析が行えるプログラム(以下、スクリプト)を無償で提供するという『オープンスクリプト※4』の提供も予定しています。

THUMGY Dataは、継続的に機能追加をしていくとともに、来るべきAI監査にも対応することも予定しています。

また、オープンスクリプトも準備が整い次第、公開していきますので、皆さん、ご期待ください!→公開しています(こちら)

THUMGY Dataの詳細については、以下のリンクを参照ください。
https://www.sankei-bc.co.jp/thumgy

当記事の内容でご意見やご感想がありましたら、ご連絡をいただけますと幸いです。また、CAATsに関するご質問があれば、遠慮なくお問い合わせください。

お問い合わせ先:https://www.icaeajp.or.jp/inquiry/contact/

※1:CAATs ( Computer Assisted Audit Techniques, コンピュータ利用監査技法 )とは、監査人がコンピュータとデータ(IT)を利用して監査手続を実施する技法をいい、CAATsを利用して監査を行うということは、ITを活用して監査を行うことと同義になります。日本では、CAATと表記されることが多いのですが、海外では、複数形のsをつけたCAATsと表記されることが多く、ICAEA(International Computer Auditing Education Association)でもCAATsという言葉を採用しているため、当BlogとしてもCAATsという言葉を使用しています。

※2:ICAEA JAPANとは、一般社団法人 国際コンピュータ利用監査教育協会の略称であり、CAATsを実務で活用できる専門家(=CAATs技術者)の育成・支援を行うことで、日常的な不正・誤謬を発見・防止することに貢献することを目指して設立されました( https://www.icaeajp.or.jp/ )。

※3:CAATsの普及を目的に、CAATsに長年携わってきた公認会計士が開発したCAATs専用ツール。開発および提供は三恵ビジネスコンサルティング株式会社が行っています。三恵ビジネスコンサルティング株式会社では、監査人が効率的にCAATsを実践できることを目的として、監査に便利なオープンスクリプト(※4)をWebサイトで提供することを予定しています。

※4:オープンスクリプトとは『THUMGY Data for Analytics』で実行できるプログラムであり、誰でも無償で利用でき、変更や再配布も自由に許可されています。

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監査の自動化について(1) ~CAATs FLow~

皆さん、こんにちは。

今回は、監査の自動化について、考察したいと思います。

監査の自動化を考察するにあたっては、監査がデータを使った監査(以下、データ監査)であることを前提としたうえで、監査のどの部分を自動化するのかを定義する必要があります。ここでは、ICAEA JAPAN(※1)が定義したCAATs Flowをベースに考察をしていきます。データ監査は下図のCAATs Flowに基づいて実施します。

CAATs Flowのプロセスのうち、データ分析ツールを利用するプロセスは、「データの分析」のみとなります。CAATs(※2)をデータ分析ツールと同意と誤解されがちですが、CAATsはCAATs Flow全体を意味します。

ここで、CAATs Flowの解説を行います。

CAATsの最初のプロセスは、「事象の知覚」です。これは、関連する法令やルールの改変、不正事例の発生など、会社にとってリスクや課題になる可能性のある事象を認識するプロセスです。

次に「監査テーマ(リスク・課題)の選定」というプロセスになります。このプロセスでは、認識された事象が内部統制などによって発生を防止できるか否かを判断し、防止できない可能性があると判断された場合には、当該事象を監査テーマとして選定します。

監査テーマを選定するとその監査テーマに関する「仮説検証手続の立案」というプロセスに入ります。このプロセスでは、監査対象となるデータに対して一定の仮説を立案し、当該仮説に沿った事象が発生しているかどうかを確認できる条件や事象などを明確にした文章を作成します。この文章を分析シナリオと言い、以下の2つに分類することが出来ます。

分析シナリオを作成すると、「データの入手」というプロセスに入ります。このプロセスでは、分析シナリオに必要なデータ(以下、ソースデータ)を安全かつ適切な形式で入手します。ソースデータの多くは会計システムや販売管理システムなどに蓄積されている「内部業務データ」から抽出されますが、株価や為替などの「外部オープンデータ」やメールなどの「その他データ」からもデータを抽出する場合があります。

データ分析に必要なデータを入手すると、「データの分析」というプロセスに入ります。このプロセスでは、データ分析を行うソフトウェア(以下、データ分析ツール)を使用してデータの分析を行います。まずは、ソースデータをデータ分析ツールに取込む処理(インポート処理)を行います。次に、データ分析ができる仕様のデータ(以下、分析用データ)を作成するための処理(加工処理)を行います。加工処理の具体例としては、複数データの結合や条件に合致するデータの抽出、欠落データの補完や表記ゆれの統一などのデータクレンジング、帳票形式データから不要な行・項目を削除するなどの整形処理などがあります。加工処理によって作成された分析用データを対象にして分析シナリオに基づくデータ分析を行います。

データ分析では、データから洞察を得たり、仮説の検証を行ったりするために、グラフなどのチャートを利用したデータの視覚化(ビジュアライゼーション)を活用する機会が増えています。データ分析によって得られた分析結果を評価し、必要に応じて評価結果から分析シナリオなどを見直し、最終的な分析結果を評価し、報告します。なお、発見型の分析シナリオの場合、データ分析を定型化することができます。

実務では、データ分析で仮説を検証した結果をもって仮説の見直しをしたり、それに伴うデータの特定や分析シナリオを見直したりすることが多いため、CAATs Flowの各プロセスは一方通行ではなく、相互に循環しながら最後のプロセスに至るというイメージになります。

 

後半は、『監査の自動化について(2)』に続きます。

 

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監査の自動化について(2) ~Continuous Auditing~

皆さ~ん、こんにちは。

今回は、『監査の自動化について(1)』に続き、監査の自動化の考察の続きをしたいと思います。前回の記事に掲載したCAATs Flowの図を再掲します。

CAATs Flowの各プロセスのうち、当面は、下記のプロセスはこれまで通り、監査人が行うことになると考えています。

  • 事象の知覚
  • 監査テーマ(リスク・課題)の選定
  • 手続の立案(分析シナリオの作成)
  • 結果の評価
  • 結果の報告

上記のプロセスはいずれも状況に応じて考察や判断を伴うものであり、将来的には人工知能などを活用して自動化することが期待されていますが、現時点では、実用化のレベルには達成していないと考えています。

上記以外のプロセス(データ入手、データ分析)については、既存の技術で大幅に自動化することが出来ます。ここで、継続的監査(Continuous Auditing、以下CA)という概念を説明しておきます。CAとは、CAATsで作成したデータ分析ツールのプログラムをコンピュータのスケジューラーによって自動実行する監査技法であり、CAATsを前提とした監査技法になります。

CAが実現すると、不正の兆候が認識されると速やかに監査人に通知されるため、監査の進め方が大幅に変化する可能性があります。具体的には、CA導入前では、監査計画立案時に監査実施時期および往査場所を決めたうえで、往査現場で過去数か月分の取引データを対象にして監査を行いますが、CAでは、データ分析ツールのプログラムを日次で実行する設定にすると、前日に異常な取引データが検知されたら、すぐにメールなどで監査人に通知されるため、これまでのように監査先で監査対象取引を抽出して検討するのではなく、監査対象取引を日常的に抽出して検討するというスタイルに変化することが予想されます。CAが導入されると、タイムリーに異常な取引データを抽出し検討できるため、不正の早期発見と防止につながる可能性が高まります。

CAは処理に応じて下記のソフトウェアを使うと簡単に実現できます。

CAATs専用ツールは下記の特長を持ったソフトウェアであるため、比較的簡単にCAに導入できます。

  • データ件数に制限がないため、大量のデータを扱うことができる。
  • 操作ログをコピーしてスクリプトに貼り付けるだけでプログラムが作成できるため、定型的なデータ処理が簡単に自動化できる。
  • データ加工および分析処理の内容が操作ログに一元的に記録されるため、加工および分析処理の過程が簡単に把握できる。

今後、CAATsやCAが主な監査技法になると、監査人は、これまでの会計や監査などの専門的な知識のみならず、コンピュータを使ったデータ分析に必要な知識およびスキルを身につけることが求められるようになります。

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※2:CAATs ( Computer Assisted Audit Techniques, コンピュータ利用監査技法 )とは、監査人がコンピュータとデータ(IT)を利用して監査手続を実施する技法をいい、CAATsを利用して監査を行うということは、ITを活用して監査を行うことと同義になります。日本では、CAATと表記されることが多いのですが、海外では、複数形のsをつけたCAATsと表記されることが多く、ICAEA(International Computer Auditing Education Association)でもCAATsという言葉を採用しているため、当BlogとしてもCAATsという言葉を使用しています。

※3:CAATsの普及を目的に、CAATsに長年携わってきた公認会計士が開発したCAATs専用ツール。開発および提供は三恵ビジネスコンサルティング株式会社が行っています。三恵ビジネスコンサルティング株式会社では、監査人が効率的にCAATsを実践できることを目的として、監査に便利なオープンスクリプト(※4)をWebサイトで提供することを予定しています。

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CAATsとIoTについて

皆さん、こんにちは。

今回は、最近、話題になっているCAATsとIoTとの関連性について、考察をお伝えしたいと思います。

IoTとは、「Internet of Things」の頭文字を取った用語で「モノのインターネット」と言われています。これまでインターネットで身近な「モノ」といえば、パソコンやスマートフォンなどの情報端末がすぐに思いつきますが、これからは、ありとあらゆる「モノ」がインターネットにつながっていくことが予想されており、現在もその範囲は拡大しています。

IoTについて考察する前に、IoTの前提であるインターネットが担ってきた機能について考えてみると、下記のように変遷してきたのではないかと考えられます。

【第一段階】
①情報を公開したい人が情報を入力して公開する
②情報を求めている人が検索条件を入力し、求めている情報を入手する

【第二段階】
①第一段階で入力された情報(公開している情報、検索情報、利用者の属性情報等)をクラウド上に蓄積する
②蓄積された情報とインターネットの利用者がソーシャルに情報を交換する

【第三段階】
①第一段階で入力された情報に加え、第二段階で入力された情報(ソーシャルメディアの情報等)など蓄積された情報とインターネットの利用者の関連を分析する
②インターネットの利用者が求めている情報を自動的にフィードバック/レコメンデーションする

インターネットが社会に極めて速く浸透したため、第一段階は非常に短い期間だったかもしれません。現在は、第二段階から第三段階への移行期にあり、インターネット上の広告などは、知らず知らずのうちに収集されている個人情報や情報端末情報等に基づいて表示されています。

上記を踏まえ、IoTについて考察してみます。IoTは、「モノ」がインターネットにつながるということですが、「モノ」から得られる情報には、温度や湿度、明るさ、音の大きさ等の『環境に関する情報』や、移動している、傾いている等の『動きに関する情報』、『位置情報』などがあります。

これまで情報は人の手を介して入力されていましたが、「モノ」がインターネットにつながることにより、「モノ」が稼働するだけで客観的に収集された様々な情報が自動的にインターネットを通じて入力され、膨大な情報が蓄積されるようになります。蓄積される情報が多ければ多いほど、分析の精度が上がり、フィードバックの質も向上することになります。

IoTという概念が出てきたことで、例えば、自動車分野では自動車に搭載されている『動く、止まる、曲がる』等のセンサー情報をリアルタイムに収集することで、道路の込み具合を把握し、最適なルートをフィードバックするサービスや、農業分野では土壌の状態や日照量などの情報から水やりや肥料の分量を自動的に調整するなど、新たなサービスが生まれています。

もしかしたら、冷蔵庫そのものは無料で消費者に提供し、冷蔵庫に組み込まれたセンサーから冷蔵庫に入っているものを自動判別して、レシピを冷蔵庫の正面に埋め込まれたモニターに表示する、あるいは、食品を自動発注する等のサービスを有料にしてマネタイズするビジネスモデルやIoTから得られる情報に基づいて売上を認識するというビジネスモデルなども出てくるかもしれません。

このように、技術の進展に伴った新しいサービスが出てくると、監査もそれに対応していく必要があります。これまでは主に財務情報に目を向けていた監査人も、上記のような「モノ」から収集される情報、すなわち、非財務情報にも目を向けなければ対応できなくなるのではないでしょうか。

ただ、新しいサービスがコンピュータシステムを利用する限り、CAATsという観点からは、非常にシンプルに考えることができます。これは、どんなに複雑なビジネスモデルであっても、コンピュータシステムの本質的な要素には『入力→データ→出力』という3つの要素しかないからです(下図参照)。

(一般社団法人 国際コンピュータ利用監査教育協会主催『ICCP試験対策講座』教材より引用)

上図は、前回の「【考察】CAATsとFinTechについて」でも引用した図ですが、IoTによる新たなサービスで影響するのは、上図の「入力」のバリエーションが増えるだけで、その他は基本的には大きくは変わりません。

つまり、FinTechの回で述べたのと同様、ビジネスモデルを観察し、『入力→データ→出力』という視点で情報を整理してデータを特定し、データ相互間の整合性やデータの正確性・網羅性等の検証を行うことで、必要な監査手続を実施することができるようになり、監査人としての役割を全うできるということになります。

CAATsを実務で活用できる技能があれば、ビジネスモデルをデータに置き換えて考えることができるため、今後、どのようなビジネスモデルが生まれても、監査人として柔軟に対応できるようになります。

これまでは、「ヒト」と「ヒト」をつないできたインターネットが、IoTが普及することによって「モノ」と「モノ」同士がつながっていき、より便利な社会になっていくのかもしれません。ただ、よりよい社会にしていくためには、これまで以上に私たちが意識し、よりよい社会にしていくための努力が大切になってくるのではないかと思います。

 

CAATs ( Computer Assisted Audit Techniques, コンピュータ利用監査技法 )とは、監査人がコンピュータとデータ(IT)を利用して監査手続を実施する技法をいい、CAATsを利用して監査を行うということは、ITを活用して監査を行うことと同義になります。日本では、CAATと表記されることが多いのですが、海外では、複数形のsをつけたCAATsと表記されることが多く、ICAEA(International Computer Auditing Education Association)でもCAATsという言葉を採用しているため、当BlogとしてもCAATsという言葉を使用しています。

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CAATsとFinTechについて

皆さん、こんにちは。

今回は、最近、話題になっているFinTechについて、CAATsとの関連性に関する考察をお伝えしたいと思います。

FinTech(フィンテック)とは、金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語で、金融サービスと情報技術を結びつけたさまざまな革新的な動きを指します(☆)。

FinTechは、私達の生活に身近な存在になってきています。例えば、複数の銀行口座やクレジットカード口座などを一つのスマホアプリで一元管理できる家計簿サービスや、お店で物を買ったり食事をしたりした際のお会計時に、iPadやiPhone等でクレジットカード決済ができる決済サービス、社会的に意義があるような取り組みにネットを通じてお金を集めるクラウドファンディング、スマホのアプリからお金を送れる送金サービス、投資のアドバイスをAIで行うロボアドバイザー等です。これまでは、『お金』にまつわるサービスは、銀行をはじめとした金融機関が担ってきましたが、Fintechでは金融機関のそれぞれが情報技術の活用によって、自社のサービスを提供するのではなく、複数の金融機関のサービスを横断的に利用してサービスを提供する形態が多く、サービス提供者も金融機関というよりもIT企業が主体になっています。

今後、金融サービスに関わらず、各種のサービスは情報技術を活用してますます多様化し、ビジネスモデルも多様化してくるでしょう。これに伴い、監査人にも多様化したビジネスモデルに対応した監査を実施することが求められてきます。しかし、新しいビジネスモデルが生まれても、また、ビジネスモデルがどのように多様化しようとも、それぞれのビジネス遂行にコンピュータシステムを活用する限り、CAATsという視点からすると、すべきことは本質的には変わりません。これは、どんなに複雑なビジネスモデルであっても、コンピュータシステムの本質的な要素には『入力→データ→出力』という3つの要素しかないからです(下図参照)。

(一般社団法人 国際コンピュータ利用監査教育協会主催『ICCP試験対策講座』教材より引用)

つまり、ビジネスモデルを観察し、『入力→データ→出力』という視点で情報を整理してデータを特定し、データ相互間の整合性やデータの正確性・網羅性等の検証を行うことで、必要な監査手続を実施することができるようになり、監査人としての役割を全うできるということになります。

CAATsを実務で活用できる技能があれば、ビジネスモデルをデータに置き換えて考えることができるため、今後、どのようなビジネスモデルが生まれても、監査人として柔軟に対応できるようになります。

なお、ビジネスモデルをデータに置き換えて考えることができる技能は、監査人に限って必要な技能ではありません。何か自分に強みを持ちたいと思っているビジネスパーソンの方にもCAATsを実務で活用できる技能は有用であると考えます。

 

☆:日本銀行ホームぺージより引用(https://www.boj.or.jp/announcements/education/oshiete/kess/i25.htm/

※:CAATs ( Computer Assisted Audit Techniques, コンピュータ利用監査技法 )とは、監査人がコンピュータとデータ(IT)を利用して監査手続を実施する技法をいい、CAATsを利用して監査を行うということは、ITを活用して監査を行うことと同義になります。日本では、CAATと表記されることが多いのですが、海外では、複数形のsをつけたCAATsと表記されることが多く、ICAEA(International Computer Auditing Education Association)でもCAATsという言葉を採用しているため、当BlogとしてもCAATsという言葉を使用しています。

 

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CAATsとRPA・RDAについて

皆さん、こんにちは。

今回は、最近、話題になっているRPAとRDAについて、CAATsとの関連性に関する考察をお伝えしたいと思います。

RPA (Robotic Process Automation)とは、人間がPC操作によって行う、定型的もしくは反復的な作業を自動化する概念のことを言います。言い換えると、RPAはPCを使った事務作業を自動化するための技術と言えます。

これまで、人が行っていた作業をソフトウェアが代替するということで、Digital Laborともソフトウェアロボットとも言われています。

RPAとよく似た概念で、RDA (Robotic Desktop Automation)という言葉があります。RDAも定型的もしくは反復的な作業を自動化する技術のことをいいます。

RPAとRDAは、いずれも定型的もしくは反復的なPC作業特に高度なプログラミング知識がなくても簡単に設定できるという点では共通していますが、RPAは複数のアプリケーションを横断的に使用して一つの作業を完結する場合に適している一方、RDAは一つのアプリケーション内で作業を完結する場合に適しています。

これまでは、複数のアプリケーションの操作を有機的に結び付けて行う作業を自動化することが難しかったため、人がその作業を手作業で実施していましたが、RPAでは複数のアプリケーションの操作を一連の操作として簡単に登録して再実行できる機能を提供できるようになったことで、これまで人が行ってきた作業を自動化することができるようになってきました。

例えば、業務システムから特定の条件を設定してデータを所定のフォルダに所定の名前で保存し、EXCELで集計処理をしてレポート用のファイルを作成する作業や、PDF文書を読み込んで特定の箇所の文字をコピーして所定のEXCELファイルに貼り付けて表を完成させるといった作業等が自動化できます。特に専門的な判断やコミュニケーションが必要ない作業等はRPAを使うと自動化され、業務効率が飛躍的に向上します。

RDAはRPAと同様に事務処理の自動化を実現する技術ですが、対象となるアプリケーションが一つだけとなります。つまり、特定のアプリケーションで完結できる作業に適している技術といえます。

さて、監査という視点で考えた場合、RPAはどのように活用できるのかについて、考察してみます。

上述したとおり、「RPAは定型的もしくは反復的な作業を自動化できる」という点では、毎回使用する各種分析資料(期間比較表や月次推移表など)を自動作成するという作業に活かせる可能性はあります。ただ、それ以上のことは専門的な判断を伴う分析作業が主体となるため、作業の自動化というよりも、データを確認しながら条件を変えて分析をすることが通常であることから、監査にはRPAという技術はそぐわないと考えます。

また、データ分析は複数のアプリケーションを横断的に使用して一つの作業を完結するというよりも、分析しやすいアプリケーションを使用したほうが業務効率が高いため、RPAを利用する積極的な理由は見当たりません。

では、次に、監査において、どのようなRDAソフトウェアが最適かを考察してみます。

CAATsツール(ACL/IDEA)は、監査に特化したデータ分析ツールであり、高度なプログラミング知識がなくても簡単に作業の自動化ができることから、CAATsツール(ACL/IDEA)はRDAの一種といえます。

EXCELにも「マクロの記録」という機能があり、操作履歴を自動的に保存して、操作の再実行をすることができますが、実用的なレベルにするためにはVBA(Visual Basic for Applications:マイクロソフト製のMicrosoft Officeで実装されているプログラミング言語)でメンテナンスする必要があるため、ハードルが高いと言わざるを得ません。

一方で、CAATsツール(ACL/IDEA)には、操作履歴を自動的に保存する操作ログ機能があり、操作ログをスクリプトという簡易的なプログラムに簡単に変換でき、このスクリプトはプログラミングの知識がなくても簡単にメンテナンスが可能です。従いまして、監査においては、CAATsツール(ACL/IDEA)が最適なツールといえます。

RPA 、IoT 、FinTech など、様々な言葉が生まれては消え、また、生まれてきます。これからの監査人はそれぞれの概念や技術を自らの業務への影響を考えて研鑽を積んでいく必要がありますが、決して言葉に惑わされることなく、その本質を見極めて、身につけていくべき技能は何かを考えることが重要であると考えます。これからの監査人にとって、外せない技能はCAATsを実務で活用できる技能であり、この技能を身につけていれば、AIやロボットが幅広く社会に普及した時代になっても、AIやロボットを使いながら、自らの職務を全うできるようになると私は信じています。

 

※:CAATs (Computer Assisted Audit Techniques, コンピュータ利用監査技法)とは、監査人がコンピュータとデータ(IT)を利用して監査手続を実施する技法をいう。故に、CAATsを利用して監査を行うということは、ITを活用して監査を行うことと同義になります。日本では、CAATと表記されることが多いのですが、海外では、複数形のsをつけたCAATsと表記されることが多く、ICAEA(International Computer Auditing Education Association)でもCAATsという言葉を採用しているため、当BlogとしてもCAATsという言葉を使用しています。

 

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