CAATsと仕訳テストについて

皆さん、こんにちは。
今回は、CAATs(※1)と仕訳テストについて、考察をしていきたいと思います。
仕訳テストは、経営者による内部統制の無効化に関係したリスク対応手続として、会計監査で実施することが求められています(監査基準委員会報告240、以下、監基報240)。監基報240には、より具体的なテスト項目が例示されていますが、例示されたテスト項目の検証方法などは記載されていないため、初めて仕訳テストを行う場合には、悩む方も多いのではないでしょうか。
仕訳テストが検証対象とするデータは仕訳データとなり、データの特定は比較的容易にできますが、一般的に仕訳データは大量のデータになることが多く、データの受け取り方に工夫が必要であったり、仕訳データを分析可能なフォーマットに加工したりと、テスト項目の検証以前に面倒なプロセスが必要な場合があります。もし、このデータの加工プロセスをExcel等で実施されてしまうと、後任者が引き継ぎを受けてもよく理解できず、時間を浪費してしまうこともあります。この点、CAATsツール(※2)では操作履歴が残されるので引継ぎがスムーズに進めることができます。
また、例えば、監基報240には、「入力担当者以外によって入力された仕訳入力」という特徴を持った仕訳を抽出する例が記載されていますが、この仕訳を抽出する場合には、例えば、下記のような観点をあらかじめ明確にしておかないと、抽出しても意味がなかったり、大量に抽出されたりして、仕訳テストの実施目的の達成が難しくなります。
・「入力担当者」を定義して、仕訳データの抽出条件を決める
・データ仕様(データの内容、項目の意味など)を確認して、テスト項目とする仕訳データの範囲を決める
上記観点は、仕訳テストに限らず、CAATsを活用するうえでは総じて重要なポイントになります。
仕訳テストの場合、データ仕様、特にテスト項目とする仕訳データの対象範囲を検討するという部分をあいまいに行っているケースがあるのではないかと推察します。実際に仕訳テストをして、確認しきれない量の仕訳データが抽出されて苦労したという経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。一概には言えませんが、大量の仕訳データが抽出される要因の一つとして、この「データ仕様を確認する」という手順が不十分な場合が考えられます。この手順のヒントになる図を下記に添付します。

(一般社団法人 国際コンピュータ利用監査教育協会主催研修教材より引用)

この図は、仕訳データの内容を概念的にまとめたものです。監基報240に例示されたテスト項目の検証を行うにせよ、別のテスト項目の検証を行うにせよ、上図の概念を踏まえたうえで、どのデータを対象にするのかを検討することはとても重要になります。

ここでもう1点重要なポイントがあります。それは、仕訳データの網羅性の検証です。仕訳テストは、不正や誤謬の発見目的で実施する手続のため、すべての仕訳データ、すなわち、テスト項目となる母集団の全データを入手すること、すなわち、仕訳データの網羅性の検証が重要になります。
テスト項目を決めるにあたっては、母集団の全件を抽出してテスト項目とする精査、母集団の一部を抽出してテスト項目とする試査の2つに分けることができます。
試査は、確率論に基づいて母集団からテスト項目を抽出する統計的サンプリングと、母集団から特定の性質を持ったテスト項目を抽出する特定項目抽出があります。
仕訳テストは、特定の性質を持った仕訳データを抽出するという観点で、特定項目抽出による試査であるといえます。
不正・誤謬発見目的には、精査と特定項目抽出が適していると言われていますが、特定項目抽出が不正・誤謬発見目的に適している理由は、母集団の全件を対象として不正・誤謬の兆候と考えられる特定の性質を持ったテスト項目を抽出するからです。
仕訳データの網羅性の検証自体は、それほど難しいものではありません。具体的には、勘定科目ごとに借方金額、貸方金額を集計し、前年度の各勘定科目の残高を加味して、期末の各勘定科目の残高を再計算し、合計残高試算表と照合するという方法です。
強いて言えば、仕訳データの件数が多い場合には、ツールをうまく選定しないと非常に時間がかかるというところが、課題になるでしょうか。

最後に、仕訳テストは、個人的に思い入れがあります。それは、私がCAATsの普及をあきらめようとしていたところを思いとどまらせてくれたということです。
確か2003年だったと思いますが、私は中央青山監査法人で監査のメソドロジーとテクノロジーを統括する部門にいました。CAATsはまさしくメソドロジーとテクノロジーの両方に関わるテーマであり、私はCAATsの普及を担当していました。それまで、10年にわたって、CAATsを普及させようと色々と取り組んでいましたが、思うように進んでいませんでした。そんな時に、ニュージーランドで開催されたPwC主催のCAATsの研修に参加しました。研修内容は、ほぼCAATsツールの操作研修だったのですが、私として大きな収穫だったのは、アメリカの監査基準であるSAS No.99で仕訳テストをCAATsで実施することが規定されたということでした。仕訳テストの実施はCAATsを利用しなければ事実上不可能な場合も多く、海外ではCAATsが監査基準でその有用性を認められているということが分かったのです。このことが、私がCAATsの普及をあきらめることを思いとどまらせることになり、現在に至っています。

最後に仕訳テストを行うにあたっての課題をまとめてみます。
仕訳テストの課題は、主に下記の3点に集約できるのではないかと考えています。
1.テスト項目を考えること
2.大量のデータを扱うこと
3.検証するために扱いやすいデータに加工すること

上記のうち、1は監基報240に例示されているテスト項目にとどまらず、前期の仕訳データの全般分析等を通じて会社独自のテスト項目を考えることが重要であり、2,3はより効率的に実施するために、CAATsツールを利用することが最良の選択だと考えています。

※1:CAATs ( Computer Assisted Audit Techniques, コンピュータ利用監査技法 )とは、監査人がコンピュータとデータ(IT)を利用して監査手続を実施する技法をいい、CAATsを利用して監査を行うということは、ITを活用して監査を行うことと同義になります。日本では、CAATと表記されることが多いのですが、海外では、複数形のsをつけたCAATsと表記されることが多く、ICAEA(International Computer Auditing Education Association)でもCAATsという言葉を採用しているため、当BlogとしてもCAATsという言葉を使用しています。

※2:CAATsツール:CAATs専用に開発されたソフトウェアのことであり、日本ではACL Analytics(開発元ACL Services Ltd.)とIDEAⓇが有名です。

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CAATsと統計的サンプリングについて

皆さん、こんにちは。
今回は、統計的サンプリングにおいてCAATs(※1)を活用することで監査品質と業務効率の向上を同時に達成する方法をお伝えしたいと思います。
まず、統計的サンプリングについて簡単に解説します。統計的サンプリングは、監査証拠を入手するために実施する、監査手続の対象項目の抽出方法の一つです。この抽出方法は下記のように分類されます。
(1)精査
母集団からそのすべての項目を抽出する。
(2)試査
母集団からその一部の項目を抽出する。
①統計的サンプリング
確率論に基づいて、対象項目を抽出する。
②特定項目抽出
特定の条件に合致した項目を抽出する。

監査目的が、財務諸表全体の適正性に関して意見表明をすることである場合や、全体の内部統制の有効性や業務の効率性等を評価することである場合には、母集団から抽出した対象項目のテスト結果から全体の母集団の適正性を推定するという統計的サンプリングが適しているといえます。
一方で、監査目的が業務改善や不正・誤謬の発見である場合には、母集団全件を対象にした精査、またはテスト対象は一部になるものの、特定の条件に合致した対象項目は全件になる特定項目抽出が適しているといえるでしょう。

■監査環境の変化への対応
今ほど世の中にパソコンが普及していない25年前、監査人は統計的サンプリングを簡単に実施できる環境ではありませんでした。電話帳のように分厚い総勘定元帳や黒い紐で綴られた何束もの伝票綴りを相手に、総勘定元帳や伝票に最初から目を通して、気になる仕訳や伝票に付箋を貼ることで、テスト対象の抽出(以後、通査という)を行っていました。当時の抽出方法は、特定項目抽出が一番近いように思います。その理由は、通査をする際に意識・無意識を問わず、連番で綴じられているはずの伝票がなぜか前後していたり、日付が前後していたりなど、何らかの違和感を覚える取引を抽出していたからです。
取引抽出の目的は、財務諸表全体の適正性に関して意見表明をすることでしたが、実際には、不正・誤謬の発見に適した特定項目抽出という手法を利用していたことになります。これは私の個人的な感想ですが、当時の方が監査人の不正・誤謬の発見能力は高かったのではないかと思うこともあります。
パソコンが普及し、監査人が一人一台利用できる現在、改めて不正・誤謬の発見につながる監査をする方法を見出していく必要があります。

■CAATsツールで監査品質と業務効率が向上
その有効な手段として、CAATsがあります。
CAATsは、精査、統計的サンプリング、特定項目抽出のすべてに対応できます。CAATsツール(※2)を使用すると、大量のデータであっても全件を対象にしたテストを実施することが可能であり、統計的サンプリングも確率論に基づいたサンプル数の決定やサンプルのランダム抽出、テスト結果から母集団全体の評価まで、一連の手続も標準メニューから実行することができます。

統計的サンプリングにおいて、CAATsツールを下記のような手順において活用することで、監査品質と業務効率の向上を同時に達成することができます。(一般社団法人 国際コンピュータ利用監査教育協会主催『ICCP試験対策講座』教材より引用)

実務上、統計的サンプリングを行う場合、まず、困るのはサンプル数の決定です。
大手監査法人のようにリスクのランクや統制の実施頻度等に応じたサンプル数のテーブルがある場合には、当該テーブルを参照すればサンプル数を決めることはできますが、母集団の件数が所定のテーブルに合致しない場合等には、統計的にサンプル数を決定するには困難を伴う場合もあるでしょう。また、サンプル数のテーブルがあった場合でも、どのランクに相当するか判断に迷う場合もあり、厳密には確率論に基づいたサンプル数にならない場合も想定されます。CAATsツールを利用すると、『信頼度』、『母集団』、『許容誤謬率』、『予想誤謬率』というパラメータを入力するだけで確率論に基づいたサンプル数を簡単に決定することができ、属人的になりがちなサンプリングの手続を標準化できます。

次に、母集団からのサンプルの抽出も重要になってきます。
抽出したサンプルのテスト結果から母集団全体の評価を行う前提は、サンプルをランダムに抽出することにあります。EXCELやACCESSの乱数を活用してランダム抽出もできますが、母集団の件数が大量になると対応できない場合も出てきます。CAATsツールを利用すると、大量のデータを対象にして処理できるだけではなく、特に関数を組み合わせたり、マクロを組んだりすることなく、標準メニューでサンプル抽出ができ、操作ログも残るため、監査調書の効率的な作成が可能になります。

最後に、テスト結果に基づいた母集団全体の評価についてですが、確率論に基づいた母集団全体の評価はかなりハードルが高いように思いますが、これも、CAATsツールを利用すると、標準メニューで母集団全体の評価ができ、操作ログも残るため、操作ログをもとにしたスクリプトの活用による、監査調書の効率的な作成(調書作成の自動化)が可能になります。

監査実務上、サンプリングを確率論に基づいて実施するには何らかのツールが必要不可欠であり、そういう意味では、CAATsツールを利用する価値は非常に高いものがあると考えられます。

昨今では、AI(人工知能)やRPA (Robotic Process Automation)/RDA (Robotic Desktop Automation)(関連記事はこちら)が監査の未来を変えていくという概念的な議論が盛んですが、こうした基礎的な手順の実践的な監査技能の向上こそ、監査人が対応していかなければならないことではないでしょうか。

※1:CAATs ( Computer Assisted Audit Techniques, コンピュータ利用監査技法 )とは、監査人がコンピュータとデータ(IT)を利用して監査手続を実施する技法をいい、CAATsを利用して監査を行うということは、ITを活用して監査を行うことと同義になります。日本では、CAATと表記されることが多いのですが、海外では、複数形のsをつけたCAATsと表記されることが多く、ICAEA(International Computer Auditing Education Association)でもCAATsという言葉を採用しているため、当BlogとしてもCAATsという言葉を使用しています。

※2:CAATsツール:CAATs専用に開発されたソフトウェアのことであり、日本ではACL Analytics(開発元ACL Services Ltd.)とIDEAⓇが有名です。

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CAATsとIoTについて

皆さん、こんにちは。

今回は、最近、話題になっているCAATsとIoTとの関連性について、考察をお伝えしたいと思います。

IoTとは、「Internet of Things」の頭文字を取った用語で「モノのインターネット」と言われています。これまでインターネットで身近な「モノ」といえば、パソコンやスマートフォンなどの情報端末がすぐに思いつきますが、これからは、ありとあらゆる「モノ」がインターネットにつながっていくことが予想されており、現在もその範囲は拡大しています。

IoTについて考察する前に、IoTの前提であるインターネットが担ってきた機能について考えてみると、下記のように変遷してきたのではないかと考えられます。

【第一段階】
①情報を公開したい人が情報を入力して公開する
②情報を求めている人が検索条件を入力し、求めている情報を入手する

【第二段階】
①第一段階で入力された情報(公開している情報、検索情報、利用者の属性情報等)をクラウド上に蓄積する
②蓄積された情報とインターネットの利用者がソーシャルに情報を交換する

【第三段階】
①第一段階で入力された情報に加え、第二段階で入力された情報(ソーシャルメディアの情報等)など蓄積された情報とインターネットの利用者の関連を分析する
②インターネットの利用者が求めている情報を自動的にフィードバック/レコメンデーションする

インターネットが社会に極めて速く浸透したため、第一段階は非常に短い期間だったかもしれません。現在は、第二段階から第三段階への移行期にあり、インターネット上の広告などは、知らず知らずのうちに収集されている個人情報や情報端末情報等に基づいて表示されています。

上記を踏まえ、IoTについて考察してみます。IoTは、「モノ」がインターネットにつながるということですが、「モノ」から得られる情報には、温度や湿度、明るさ、音の大きさ等の『環境に関する情報』や、移動している、傾いている等の『動きに関する情報』、『位置情報』などがあります。

これまで情報は人の手を介して入力されていましたが、「モノ」がインターネットにつながることにより、「モノ」が稼働するだけで客観的に収集された様々な情報が自動的にインターネットを通じて入力され、膨大な情報が蓄積されるようになります。蓄積される情報が多ければ多いほど、分析の精度が上がり、フィードバックの質も向上することになります。

IoTという概念が出てきたことで、例えば、自動車分野では自動車に搭載されている『動く、止まる、曲がる』等のセンサー情報をリアルタイムに収集することで、道路の込み具合を把握し、最適なルートをフィードバックするサービスや、農業分野では土壌の状態や日照量などの情報から水やりや肥料の分量を自動的に調整するなど、新たなサービスが生まれています。

もしかしたら、冷蔵庫そのものは無料で消費者に提供し、冷蔵庫に組み込まれたセンサーから冷蔵庫に入っているものを自動判別して、レシピを冷蔵庫の正面に埋め込まれたモニターに表示する、あるいは、食品を自動発注する等のサービスを有料にしてマネタイズするビジネスモデルやIoTから得られる情報に基づいて売上を認識するというビジネスモデルなども出てくるかもしれません。

このように、技術の進展に伴った新しいサービスが出てくると、監査もそれに対応していく必要があります。これまでは主に財務情報に目を向けていた監査人も、上記のような「モノ」から収集される情報、すなわち、非財務情報にも目を向けなければ対応できなくなるのではないでしょうか。

ただ、新しいサービスがコンピュータシステムを利用する限り、CAATsという観点からは、非常にシンプルに考えることができます。これは、どんなに複雑なビジネスモデルであっても、コンピュータシステムの本質的な要素には『入力→データ→出力』という3つの要素しかないからです(下図参照)。

(一般社団法人 国際コンピュータ利用監査教育協会主催『ICCP試験対策講座』教材より引用)

上図は、前回の「【考察】CAATsとFinTechについて」でも引用した図ですが、IoTによる新たなサービスで影響するのは、上図の「入力」のバリエーションが増えるだけで、その他は基本的には大きくは変わりません。

つまり、FinTechの回で述べたのと同様、ビジネスモデルを観察し、『入力→データ→出力』という視点で情報を整理してデータを特定し、データ相互間の整合性やデータの正確性・網羅性等の検証を行うことで、必要な監査手続を実施することができるようになり、監査人としての役割を全うできるということになります。

CAATsを実務で活用できる技能があれば、ビジネスモデルをデータに置き換えて考えることができるため、今後、どのようなビジネスモデルが生まれても、監査人として柔軟に対応できるようになります。

これまでは、「ヒト」と「ヒト」をつないできたインターネットが、IoTが普及することによって「モノ」と「モノ」同士がつながっていき、より便利な社会になっていくのかもしれません。ただ、よりよい社会にしていくためには、これまで以上に私たちが意識し、よりよい社会にしていくための努力が大切になってくるのではないかと思います。

 

CAATs ( Computer Assisted Audit Techniques, コンピュータ利用監査技法 )とは、監査人がコンピュータとデータ(IT)を利用して監査手続を実施する技法をいい、CAATsを利用して監査を行うということは、ITを活用して監査を行うことと同義になります。日本では、CAATと表記されることが多いのですが、海外では、複数形のsをつけたCAATsと表記されることが多く、ICAEA(International Computer Auditing Education Association)でもCAATsという言葉を採用しているため、当BlogとしてもCAATsという言葉を使用しています。

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CAATsとFinTechについて

皆さん、こんにちは。

今回は、最近、話題になっているFinTechについて、CAATsとの関連性に関する考察をお伝えしたいと思います。

FinTech(フィンテック)とは、金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語で、金融サービスと情報技術を結びつけたさまざまな革新的な動きを指します(☆)。

FinTechは、私達の生活に身近な存在になってきています。例えば、複数の銀行口座やクレジットカード口座などを一つのスマホアプリで一元管理できる家計簿サービスや、お店で物を買ったり食事をしたりした際のお会計時に、iPadやiPhone等でクレジットカード決済ができる決済サービス、社会的に意義があるような取り組みにネットを通じてお金を集めるクラウドファンディング、スマホのアプリからお金を送れる送金サービス、投資のアドバイスをAIで行うロボアドバイザー等です。これまでは、『お金』にまつわるサービスは、銀行をはじめとした金融機関が担ってきましたが、Fintechでは金融機関のそれぞれが情報技術の活用によって、自社のサービスを提供するのではなく、複数の金融機関のサービスを横断的に利用してサービスを提供する形態が多く、サービス提供者も金融機関というよりもIT企業が主体になっています。

今後、金融サービスに関わらず、各種のサービスは情報技術を活用してますます多様化し、ビジネスモデルも多様化してくるでしょう。これに伴い、監査人にも多様化したビジネスモデルに対応した監査を実施することが求められてきます。しかし、新しいビジネスモデルが生まれても、また、ビジネスモデルがどのように多様化しようとも、それぞれのビジネス遂行にコンピュータシステムを活用する限り、CAATsという視点からすると、すべきことは本質的には変わりません。これは、どんなに複雑なビジネスモデルであっても、コンピュータシステムの本質的な要素には『入力→データ→出力』という3つの要素しかないからです(下図参照)。

(一般社団法人 国際コンピュータ利用監査教育協会主催『ICCP試験対策講座』教材より引用)

つまり、ビジネスモデルを観察し、『入力→データ→出力』という視点で情報を整理してデータを特定し、データ相互間の整合性やデータの正確性・網羅性等の検証を行うことで、必要な監査手続を実施することができるようになり、監査人としての役割を全うできるということになります。

CAATsを実務で活用できる技能があれば、ビジネスモデルをデータに置き換えて考えることができるため、今後、どのようなビジネスモデルが生まれても、監査人として柔軟に対応できるようになります。

なお、ビジネスモデルをデータに置き換えて考えることができる技能は、監査人に限って必要な技能ではありません。何か自分に強みを持ちたいと思っているビジネスパーソンの方にもCAATsを実務で活用できる技能は有用であると考えます。

 

☆:日本銀行ホームぺージより引用(https://www.boj.or.jp/announcements/education/oshiete/kess/i25.htm/

※:CAATs ( Computer Assisted Audit Techniques, コンピュータ利用監査技法 )とは、監査人がコンピュータとデータ(IT)を利用して監査手続を実施する技法をいい、CAATsを利用して監査を行うということは、ITを活用して監査を行うことと同義になります。日本では、CAATと表記されることが多いのですが、海外では、複数形のsをつけたCAATsと表記されることが多く、ICAEA(International Computer Auditing Education Association)でもCAATsという言葉を採用しているため、当BlogとしてもCAATsという言葉を使用しています。

 

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CAATsとRPA・RDAについて

皆さん、こんにちは。

今回は、最近、話題になっているRPAとRDAについて、CAATsとの関連性に関する考察をお伝えしたいと思います。

RPA (Robotic Process Automation)とは、人間がPC操作によって行う、定型的もしくは反復的な作業を自動化する概念のことを言います。言い換えると、RPAはPCを使った事務作業を自動化するための技術と言えます。

これまで、人が行っていた作業をソフトウェアが代替するということで、Digital Laborともソフトウェアロボットとも言われています。

RPAとよく似た概念で、RDA (Robotic Desktop Automation)という言葉があります。RDAも定型的もしくは反復的な作業を自動化する技術のことをいいます。

RPAとRDAは、いずれも定型的もしくは反復的なPC作業特に高度なプログラミング知識がなくても簡単に設定できるという点では共通していますが、RPAは複数のアプリケーションを横断的に使用して一つの作業を完結する場合に適している一方、RDAは一つのアプリケーション内で作業を完結する場合に適しています。

これまでは、複数のアプリケーションの操作を有機的に結び付けて行う作業を自動化することが難しかったため、人がその作業を手作業で実施していましたが、RPAでは複数のアプリケーションの操作を一連の操作として簡単に登録して再実行できる機能を提供できるようになったことで、これまで人が行ってきた作業を自動化することができるようになってきました。

例えば、業務システムから特定の条件を設定してデータを所定のフォルダに所定の名前で保存し、EXCELで集計処理をしてレポート用のファイルを作成する作業や、PDF文書を読み込んで特定の箇所の文字をコピーして所定のEXCELファイルに貼り付けて表を完成させるといった作業等が自動化できます。特に専門的な判断やコミュニケーションが必要ない作業等はRPAを使うと自動化され、業務効率が飛躍的に向上します。

RDAはRPAと同様に事務処理の自動化を実現する技術ですが、対象となるアプリケーションが一つだけとなります。つまり、特定のアプリケーションで完結できる作業に適している技術といえます。

さて、監査という視点で考えた場合、RPAはどのように活用できるのかについて、考察してみます。

上述したとおり、「RPAは定型的もしくは反復的な作業を自動化できる」という点では、毎回使用する各種分析資料(期間比較表や月次推移表など)を自動作成するという作業に活かせる可能性はあります。ただ、それ以上のことは専門的な判断を伴う分析作業が主体となるため、作業の自動化というよりも、データを確認しながら条件を変えて分析をすることが通常であることから、監査にはRPAという技術はそぐわないと考えます。

また、データ分析は複数のアプリケーションを横断的に使用して一つの作業を完結するというよりも、分析しやすいアプリケーションを使用したほうが業務効率が高いため、RPAを利用する積極的な理由は見当たりません。

では、次に、監査において、どのようなRDAソフトウェアが最適かを考察してみます。

CAATsツール(ACL/IDEA)は、監査に特化したデータ分析ツールであり、高度なプログラミング知識がなくても簡単に作業の自動化ができることから、CAATsツール(ACL/IDEA)はRDAの一種といえます。

EXCELにも「マクロの記録」という機能があり、操作履歴を自動的に保存して、操作の再実行をすることができますが、実用的なレベルにするためにはVBA(Visual Basic for Applications:マイクロソフト製のMicrosoft Officeで実装されているプログラミング言語)でメンテナンスする必要があるため、ハードルが高いと言わざるを得ません。

一方で、CAATsツール(ACL/IDEA)には、操作履歴を自動的に保存する操作ログ機能があり、操作ログをスクリプトという簡易的なプログラムに簡単に変換でき、このスクリプトはプログラミングの知識がなくても簡単にメンテナンスが可能です。従いまして、監査においては、CAATsツール(ACL/IDEA)が最適なツールといえます。

RPA 、IoT 、FinTech など、様々な言葉が生まれては消え、また、生まれてきます。これからの監査人はそれぞれの概念や技術を自らの業務への影響を考えて研鑽を積んでいく必要がありますが、決して言葉に惑わされることなく、その本質を見極めて、身につけていくべき技能は何かを考えることが重要であると考えます。これからの監査人にとって、外せない技能はCAATsを実務で活用できる技能であり、この技能を身につけていれば、AIやロボットが幅広く社会に普及した時代になっても、AIやロボットを使いながら、自らの職務を全うできるようになると私は信じています。

 

※:CAATs (Computer Assisted Audit Techniques, コンピュータ利用監査技法)とは、監査人がコンピュータとデータ(IT)を利用して監査手続を実施する技法をいう。故に、CAATsを利用して監査を行うということは、ITを活用して監査を行うことと同義になります。日本では、CAATと表記されることが多いのですが、海外では、複数形のsをつけたCAATsと表記されることが多く、ICAEA(International Computer Auditing Education Association)でもCAATsという言葉を採用しているため、当BlogとしてもCAATsという言葉を使用しています。

 

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裁量労働制における不適切データについて

皆さん、こんにちは。

今回は、最近、話題になっている「働き方改革」関連法案の根拠とされていたデータに不適切と思われるデータがあったという点について、考察をお伝えしたいと思います。

安倍政権の肝煎りである「働き方改革」関連法案に含めた裁量労働制の対象拡大の根拠に疑義が生じており、関連法案の見送りなどが取りざたされています。今回の問題には、質問が同じレベルで行われなかったという点や、一般労働者の残業時間に不自然なデータが含まれていたという点などが指摘されています。

質問が同じレベルで行われていなかったという点については、今回の質問は、裁量労働制で働いている人に対して1日の平均時間を問いながら、一般労働者に対しては、1か月で最も残業の多い日の残業時間を聞いていたということが指摘されています。より実態に即したデータを収集するという観点からすると、質問先によって質問文を変えることに大きな違和感はありませんが、同じレベルのデータを収集できる質問になっていることが前提になります。今回の質問では、同じレベルのデータを収集できない可能性が高いことが問題視されており、結論ありきのデータ分析であると指摘されても無理はありません。

次に、データに不自然なデータが含まれているという点です。CAATs(※)では、まずは、入手したデータの信頼性を確認することが第一であり、大きな外れ値があった場合には、当該外れ値の内容を検討し、当該データを省いて残りのデータを使う、データを入手し直す等の検討を慎重に行うことが求められます。

分析結果の評価は、分析者もしくは分析を指示した人の判断に委ねられる部分が多く、恣意的にデータを作っていくこともできる場合があります。今回の分析結果が、結論ありきの分析であったかどうかは分かりませんが、CAATsでは、データ収集、データの信頼性の検討、データ分析、結果の評価という複数のプロセスで、それぞれのプロセスが適正に行われることが求められ、また、その実施過程の記録が求められます。今回のような事後的な調査を行う場合にも、実施過程の記録を検証することで、迅速に問題の所在を特定できる可能性が高いと考えます。このため、監査に限らず、今回のような法案の採否に関わるような重要なデータ分析や取締役会などで審議に使用する資料の作成など、企業の意思決定に影響を与えるような重要なデータ分析においても、CAATsは有効に活用できると考えます。

※:CAATs(Computer Assisted Audit Techniques, コンピュータ利用監査技法)とは、監査人が「コンピュータとデータ(以下、ITと表記)」を利用して監査手続を実施する技法をいう。故に、CAATsを利用して監査を行うということは、ITを活用して監査を行うことと同義になります。日本では、CAATと表記されることが多いのですが、海外では、複数形のsをつけたCAATsと表記されることが多く、ICAEA(International Computer Auditing Education Association)でもCAATsという言葉を採用しているため、当BlogとしてもCAATsという言葉を使用しています。

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監査人の技能再教育(リスキリング)

皆さん、こんにちは。

今回は、2月27日付の日経新聞電子版の下記の記事に関する考察をお伝えしたいと思います。

【AIと働き方(中) 多様なフリーランス台頭】

https://www.nikkei.com/article/DGXKZO27392740W8A220C1KE8000/

『AIと働き方(中) 多様なフリーランス台頭』(栄藤稔 大阪大学教授 経済教室 コラム(経済・政治)2018年2月27日日経新聞電子版(※1))に『日本政府が提唱している科学技術政策の基本方針(2016~20年度)である、「ソサエティー5.0」時代には、AIとロボティクスによる自動化が加速し、生き残っていける職種と雇用形態も変化していくこと』を予想され 、また、『キーワードは技能再教育(リスキリング)だ。これまでは一般に20歳前後まで教育を受け、その教育に基づいて就職先を決め、定年まで働いて一生を終える人が珍しくなかった。そのモデルが自動化が大きく進むソサエティー5.0の時代では成り立たなくなる公算が大きい。』と述べられていました。(ソサエティー5.0については、※2をご参照ください。

この記事で興味深いことは、職種と自動化の関係を、職業を構成する業務が知識労働か作業労働か、定型か非定型かで単純化して象限を4つに分けた考え方にあり、この関係がとても分かりやすい図になっています(参照記事より引用)。

ある特定の職種の中にも非定型業務、定型業務、知識労働、作業労働のいずれも含まれている場合があるため、単純に職種単位でこの4象限のどれか一つに当てはめることが難しい側面もありますが、考え方を整理するうえでは有用であると考えます。

もし、現在携わっている職種、もしくは、これから携わろうとしている職種が定型、非定型、知識労働、作業労働という4つの軸で整理してみた場合、どの軸に近いかを考え、上図でいう第Ⅲ限と第Ⅳ象限に属している割合が多いと考えるのであれば、職種を変えるか、あるいは、その職種の中でも非定型業務と知識労働の部分を担えるような技能を磨く努力を行っていく必要があります。

この努力は、個々人が取り組むべき課題であることに間違いはありませんが、この記事のキーワードである「技能再教育(リスキリング)」は、社会的にも対応していくべき課題であると私は考えます。

「監査」という職種は、4つの象限に当てはめた場合、現状ではいずれの象限にも業務が散らばっていますが、これからは第Ⅱ象限と第Ⅰ象限が中心になっていくものと思われます。つまり、人手不足が深刻な監査業界においては、監査人がAIを駆使して効率的かつ深度ある監査を実現することが求められるようになると考えられます。AIを駆使するためには、監査人にはデータ分析の素養が必須となります。すべての監査人にデータ分析の素養を身につけてもらえるような「技能再教育(リスキリング)」に私は貢献していきたいと考えています

※1:日経電子版の会員限定の記事ですが、会員登録をすることで閲覧できます(有料記事については、数量が限定されています)。

※2:サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)。狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもので、第5期科学技術基本計画において我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱されました( http://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/index.html )。

 

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AI時代のニューディール

皆さん、こんにちは。

今回は、2018年2月22日付の日経新聞電子版の下記の記事に関する考察をお伝えしたいと思います。

AI時代のニューディール

この記事(※1)の筆者であるグローバル・ビジネス・コラムニストのラナ・フォルーハーさんは、『最近参加したある会議では、米国の世界的大企業の経営者らが、数年以内に仕事の30~40%を技術で置き換えることができるとし、その方法について話し合っていた。その上で彼らは、その規模でのリストラを実施した場合の政治的な影響について思い悩んでいた。』とし、この潜在的な雇用危機を好機に変える根本的な解決策を提案しています。すなわち、『自動化によって置き換えられる仕事は多いが、顧客サービスやデータ分析など切実に人材を必要とする分野の仕事も多い。従業員を解雇せずに新しい仕事ができるよう再訓練すると約束した企業には、税制上の優遇を与えればいい。』という提案になっています。

この記事では、AIが普及することで、労働市場においても格差が拡がるという可能性に警鐘を鳴らしています。

監査の世界でも『雇用の未来』 という論文(※2)において、「Accountants and Auditors」という職業の94%がAIやロボット等に置き換わるという刺激的な研究報告があるように、監査でも単調な仕事の部分は、AI等に置き換わっていくでしょう。

ただ、監査の本質は、監査テーマ(リスク・課題)から不正・誤謬等に関する仮説を設定して監査手続を立案し、監査手続に必要なデータを特定して、そのデータを使って監査手続を実施し、結果を評価するという仕事であり、決して単調な仕事ではないと私は考えています。

したがって、これからの監査人は、仮説立案技能、データ処理・分析技能、報告技能という3つの技能を高いレベルで身につける必要があるのです。逆説的な言い方をすると、これらの技能を身につけなければ、監査人として生き残っていけない時代になってきているのではないでしょうか。

※1:日経電子版の会員限定の記事ですが、会員登録をすることで閲覧できます(有料記事については、数量が限定されています)。
※2:Published by the Oxford Martin Programme on Technology and Employment, 2013

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Blogを始めた理由

皆さん、こんにちは。

この度、Blogを始めることになった弓塲啓司と申します。私は1992年に公認会計士2次試験(当時)に合格し、監査業界に入りました。この業界に入ってからすぐに監査先からデータを入手して監査手続を実施するというコンピューター利用監査技法( Computer Assisted Audit Techniques = CAATs )に携わり、現在に至っています。たまたま配属された監査チームの先輩がパソコンを使って監査をしようという会計士で、会社を担当していた代表社員もそれを温かく見守ってくれていたため、私も自然とパソコンで監査をすることに入っていけました。

最初は、単純に合計チェックをしたり、残高確認書の送付先をランダム抽出したりして喜んでいました。

それから、何時間もかけて手で作成していた月次推移表を、各担当者がボタンを押せば担当科目の月次推移表が画面で照会できるようにしたり、印刷できるようにしたりと、特に手続実施の効率性を高めることを中心にCAATsを活用していましたが、金融機関の未収利息や貸倒実績率の再計算などをする頃から、手ではできない手続を実施することで、CAATsを監査品質の向上につながる技法として活用するようになりました。

この頃から、CAATsをもっと普及させたいと思うようになり、2017年9月に一般社団法人 国際コンピュータ利用監査教育協会(ICAEA JAPAN)を立ち上げました

これまで私が20年以上にわたって培ってきたCAATsに関する知識・スキルをBlogやICAEA JAPANのサービス等を通じて、できるだけ体系立てて皆さんにお伝えしたいと思います。

Blogの更新タイミングは、出来るだけ定期的に発信していくように努力をしますので、皆様、乞うご期待!

CAATsの定義

このBlogではCAATs(Computer Assisted Audit Techniques, コンピューター利用監査技法)の定義を監査人がコンピュータとデータ(IT)を利用して監査手続を実施する技法と定義しています。

したがって、CAATsを利用して監査を行うということは、ITを利用して監査を行うことと同義になります。

ここで重要なポイントは、CAATsは「ITを利用した監査技法」であって、ACLやIDEAといったCAATsツールを意味するのではないということです。

因みに、日本では、CAATと表記されることが多いのですが、海外では、複数形のsをつけたCAATsと表記されることが多く、ICAEA(International Computer Auditing Education Association)でもCAATsという言葉を採用しているため、ICAEA JAPANとしてもCAATsという言葉を使用しています。従いまして、当BlogでもCAATsと表記します。